こんにちは、ドローン専門行政書士の宮崎です。
「DIPSで包括申請を取ったから、近くの広い河川敷でドローンを飛ばそう」
そう考えていませんか? 実は、ここがドローンを始めたばかりの方が勘違いしやすいポイントです。
包括申請の許可を持っていても、河川敷で勝手にドローンを飛ばすと、通報されたり違法行為に問われたりする可能性があります。
「じゃあ、どこなら飛ばせるの?」
「どうやって許可を取ればいいの?」
ここでは、そんな疑問を解決。
本記事を読めば、河川敷でのドローン飛行に求められる「航空法」と「河川法」という、2つの法律への適切な対応方法がわかります。
そして、具体的にどこに連絡してどんな手続きをすれば、適法かつ安全に飛行できるのかも明確になります。
複雑な手続きをスムーズに進め、安心してドローン飛行を行うための参考になれば幸いです。
河川でドローンを飛ばすには「2つの法律」のクリアが必要

ドローンを屋外、特に河川敷で飛ばす場合、「空のルール」と「陸(場所)のルール」の両方を満たさなければなりません。
航空法(ドローンの飛行ルール)
まず大前提となるのが「航空法」です。
重量100g以上のドローンを飛ばす場合、人口集中地区(DID地区)や150m以上の空域など、許可が必要な空域に該当するかどうかを確認する必要があります。
また、夜間飛行や目視外飛行など特定の飛行方法を行う場合も、国土交通省の許可・承認が必須です。
河川法(河川の利用ルール)
次に問題になるのが「河川法」や施設管理のルールです。
河川法自体にはドローンの飛行を明確に禁止する条文はなく、基本的には「自由使用の範疇」とされています。
ただしドローンの離着陸などで、河川敷の土地を排他的・独占的に使用する場合は注意が必要です。
このような使い方は「占用行為」とみなされ、河川法第24条に基づく河川管理者の許可(河川占用許可)を求められることがあります。
また他の利用者への危険や騒音トラブルを防ぐため、河川管理者が独自に飛行を制限・禁止しているケースも少なくありません。
「DIPSの許可」だけでは河川敷で飛ばせない理由
ここで多くの方が勘違いをします。「DIPS2.0で国交省の許可を取ったから、河川敷でも飛ばせる」という勘違いです。
DIPS2.0はあくまで「空域」の利用に対する許可であり、「場所」の利用許可ではありません。
「空のルール(航空法)」をクリアしていても、「陸のルール(河川管理者の許可)」を得ていなければ、無断で他人の敷地を使うのと同じ状態になります。
宮崎のひと言アドバイス
「車の運転免許(航空法の許可)を持っていても、他人の庭(管理された河川敷)で勝手に車を走らせてはいけない」とイメージしてください。
「国交省の許可があるのに通報された」というトラブルが多いです。必ず飛行場所の管理者に確認を取りましょう。

河川管理者の調べ方と管轄(国土交通省・自治体)
河川のルールは「誰がその川を管理しているか」によって、まったく異なります。
では、どうやって管理者を調べればよいのでしょうか? 日本の河川は大きく4つに分類され、管理者が分かれています。
一級河川の管理者は「国土交通省(各河川事務所)」
荒川、江戸川、淀川、利根川などの大きく主要な河川(一級河川)の多くは、国が管理しています。具体的には、国土交通省の地方整備局・各河川事務所です。
ただし一級河川であっても、都管理区間など一部区間は都道府県知事が管理している場合があるため、注意が必要です。
国土交通省のホームページにある「河川の管理区分について」のページなどで確認できます。
二級河川・準用河川の管理者は「都道府県・市区町村」
二級河川は都道府県、準用河川・普通河川は各市区町村が管理しています。
「〇〇川 河川管理者」「〇〇川 土木事務所」といったキーワードでネット検索し、管轄の自治体や窓口を特定しましょう。
宮崎のひと言アドバイス
「同じ川なのに、少し上流に行ったら管理者が変わっていた」ということがよくあります。
複数の管理者にまたがって飛行させる場合は、それぞれの窓口に確認・申請が必要になります。飛行予定マップを事前にしっかり確認することがトラブル防止のポイントです。

主要な河川敷のドローン規制状況
では、実際に皆さんがよく知る主要な河川敷では、どのようなルールになっているのでしょうか。具体例を見てみましょう。
荒川河川敷(東京・埼玉)のルール
荒川は上流と下流でルールが異なります。
上流エリア(荒川上流河川事務所管轄)は原則手続き不要ですが、航空法の許可とガイドラインの遵守は必須です。ただし、「彩湖周辺」などの飛行禁止区域もあるため注意しましょう。
一方、荒川下流において、商業撮影などで一時的に排他・独占利用する場合は、一時使用届を提出しなければなりません。
その際、無人航空機の利用は「公共性が高いもの」に限ると案内されているケースがあります。
江戸川河川敷(東京・千葉・埼玉)のルール
江戸川河川事務所によると、現在のところ河川管理者が許可した無人航空機の飛行場所はありません。また排他的・継続的な河川敷の使用は規制されています。
近隣住民からの苦情も寄せられることがあるため、利用方法や時間には十分な配慮が必要です。
淀川河川敷(大阪・京都・兵庫)のルール
淀川(および大和川)の河川敷でのドローン飛行は、大きさや重量を問わず「原則禁止」と非常に厳しいルールが敷かれています。
例外として認められるのは、次の3つの条件をすべて満たした場合のみです。
- 河川調査や橋梁点検など公共性の高い事業
- そこで飛ばさなければならない理由がある
- 安全計画が確立されている
趣味や遊興目的での飛行は一切認められません。
宮崎のひと言アドバイス
ドローン普及に伴うトラブル急増により、淀川のように「原則禁止」に踏み切る河川事務所が増えています。
ネットの古い情報を鵜呑みにせず、必ず最新の公式情報を確認してください。
「河川敷でのドローン練習」を検討している方へ

ドローンを購入したばかりの方が「広いから」という理由で河川敷での練習を検討することが多いですが、ここにも注意点があります。
基本的に「自由な練習場所」としての河川利用は厳しい
前述のとおり、河川法上は自由使用が基本とはいえ、実際には散歩など他の利用者が多くいます。よって、30m以上の安全な距離を保てないことが大半です。
また自治体の条例や、河川管理者の独自ルールで飛行が制限されていることも多いです。「自由に練習できる場所」として河川敷を無断で使うのはリスクが非常に高いといえます。
民間事業者や自治体が運営する練習場を利用する
何も心配せずに練習したいなら、自治体や民間事業者が正式に認めている練習場を活用ください。
例えば、荒川河川敷では過去に、インフラDX推進や観光資源発掘を目的とした「ドローンテストフィールド」が開設された事例があります。
こうした公認の練習場や実証実験エリアを利用する際は、事前の予約や利用ルールをしっかり確認した上で、練習を行いましょう。
自治体の練習場は少ないのが現状ですので、民間事業者が運営するところをネット検索するのが一番の近道です。
飛行可能な河川エリアを効率よく探す便利ツール

「じゃあ、どこが飛ばせるエリアなの?」と毎回調べるのは大変です。そこで便利なツールを活用しましょう。
「ドローンフライトナビ」などのマップアプリを活用する
航空法で規制されているエリア(人口集中地区や空港周辺など)は、専用のツールで視覚的に確認できます。 具体的には、以下のマップを活用しましょう。
まずはこれらのツールで「航空法の規制エリアに該当しないか」を確認し、その上で河川管理者を調べていくのが一番スムーズです。
宮崎のひと言アドバイス
アプリで「赤色(禁止エリア)じゃないからOK」と勘違いしないこと。アプリはあくまで「空のルール(航空法)」の目安です。
アプリで白くても、河川管理者や条例(陸のルール)で禁止されていればアウトです。
河川でドローンの許可・確認を取る5つの手順

実際に河川でドローンを飛ばすための具体的な手順を解説します。
ステップ① アプリ等で航空法の禁止エリアに該当しないか確認
まずはDIPS2.0やマップアプリを使い、飛行予定地がDID地区や空港周辺などに該当しないか確認します。該当する場合は、事前の航空法許可(DIPS2.0での申請)が必須です。
ステップ② 飛行予定場所の「河川管理者」を特定する
国交省のホームページやGoogle検索を活用して、その河川のその区間を誰が管理しているのかを特定します。
管理者は国、都道府県、市区町村になります。
ステップ③ 管理者に電話で「ドローン飛行の可否」を事前確認する
ホームページにルールが記載されている場合もありますが、不明な場合は管轄の河川事務所や土木事務所に電話で直接確認しましょう。
その際、「具体的な場所」「飛行目的」「安全対策」を伝えるとスムーズです。
飛行目的とは趣味か業務か、など。安全対策の一例としては、コーンを置くなどです。
ステップ④ 必要な場合、河川管理者へ「一時使用届」等を提出する
管理者から「飛行は可能だが、手続きが必要」と言われた場合、所定の「河川一時使用届」などを提出します。
利用日の10日前など、提出期限が設けられている場合が多いので、余裕を持って準備しましょう。
ステップ⑤ 航空法に基づく許可(DIPS2.0)を取得し、飛行させる
陸の許可(または確認)が取れたら、必要に応じてDIPS2.0で航空法の許可・承認を取得。さらに飛行計画の通報を行ってから、飛行させます。
宮崎のひと言アドバイス
電話確認をした際は、必ず「いつ、誰に確認して、何と言われたか」をメモしておく。または案内があったホームページのURLや、受理メールを保存しておいてください。
現場で警察や他の利用者から通報された際、「〇〇事務所の〇〇さんに確認済みです」、とすぐに提示できるようにするのが基本です。
河川とドローンに関するよくある質問(FAQ)

Q. 包括申請を取得していれば、河川ごとの許可は不要?
A. いいえ、不要ではありません。包括申請はあくまで「航空法(空のルール)」の許可です。
河川で飛ばすには、それとは別に「河川法・管理者ルール(陸のルール)」の確認と許可(届出)が必ず必要になります。両方揃って初めて適法に飛ばせます。
Q. 重さが100g未満のトイドローンでも河川敷で許可や届出は必要?
A. 航空法の重量規制(100g以上)の対象外であっても、トイドローンの飛行が禁止されている場所はあります。
淀川河川事務所などがその代表例であり、「大きさや重量を問わず無人航空機は禁止」と独自に定めているためです。
管理者のルールを必ず確認してください。
Q. 国土交通省の河川事務所への連絡はメールでもよいですか?
A. 窓口によっては、メールでの問い合わせや届出に対応している場合もあります。例えば、荒川下流河川事務所の一部窓口などがそのケースです。
しかし実際には、詳細な状況のヒアリングが必要になることが多くあります。よって、まずは電話で概要を伝え、担当者の指示を仰ぐのがもっとも確実で早い方法です。
まとめ

河川敷でドローンを飛ばすためには、「航空法」と「河川法(管理者ルール)」の2つの壁をクリアする必要があります。
- 「DIPSの許可=どこでも飛ばせる」は大きな勘違い。
- 河川敷は一律に飛行可能(または禁止)ではなく、河川や区間ごとに管理者が異なる。
- 淀川のように「原則禁止」の河川もあれば、届出を出せば利用できる河川もある。
- 飛行前には必ず管理者を特定し、公式ルールの確認と事前の相談・手続きを行う。
安全なドローン運用は、正確な事前調査と手続きから始まります。
「ちょっとくらいバレないだろう」という甘い考えは捨てて、今回お伝えした手順に沿って正しく手続きを行いましょう。
手続きが複雑でわからない場合や、業務で確実に飛行させたい場合は、ぜひドローン専門の行政書士にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。ドローン専門行政書士の宮崎がお伝えしました。