こんにちは、ドローン専門行政書士の宮崎です。
あなたは次のような考えなどを持っていませんか?
「日本一の面積を誇る琵琶湖で、美しいドローン空撮をしてみたい」
「でも、湖なら誰にも迷惑をかけないから、許可なしで勝手に飛ばしても大丈夫だよね?」

結論から言うと、「琵琶湖の湖上だからどこでも自由に飛ばしていい」というのは間違いです。
琵琶湖周辺でドローンを飛行させるには、次のような確認すべき法律が複雑に絡み合っています。
- 航空法
- 河川法
- 公園条例
- 自衛隊施設周辺の規制…など
知らずに飛ばして警察に通報され、罰金刑や書類送検になってしまうケースも後を絶ちません。
ここでは琵琶湖でドローンを飛ばすために必要な許可やルール、おすすめの飛行スポット、よくあるトラブル回避術までを徹底解説。
本記事を読めば、「どこに・どのような申請をすれば合法的に琵琶湖で空撮できるのか」が分かり、安心して映像撮影ができるようになります。
琵琶湖でドローンを飛ばすには許可が必要?確認すべき4つの法律・規制

琵琶湖でドローンを飛行させる場合、主に4つの法律・規制をクリアする必要があります。
「空」「水面」「陸地」の3つの視点から、どのような規制がかかるのかを見ていきましょう。
① 航空法による規制(DID地区・高度・重量など)
機体重量が100g以上のドローンを飛ばす場合、国土交通省が定める「航空法」の対象となります。
琵琶湖の湖上自体は人口集中地区(DID地区)には該当しませんが、以下のケースでは「DIPS2.0」での飛行許可・承認申請が必要です。
- 人または物件から30m未満の距離での飛行(観光客や船、建物などに近づく場合)
- 目視外飛行(モニターを見ながらの操縦など)
- 夜間飛行(夕景や夜景の撮影など)
- 150m以上の高さの空域
宮崎のひと言アドバイス
「湖の上だからDID地区(人口集中地区)ではない」と判断してはいけません。
湖上はDID地区外でも、ドローンを離発着させる「湖畔の岸辺(大津市街地の沿岸など)」がDID地区に指定されているケースが多いです。
離陸地点がDID地区であれば、その時点で航空法の許可が必要になります。事前に国土地理院の地図などでしっかり確認しましょう。
② 河川法・琵琶湖敷の使用規制(自由使用の原則と例外)
琵琶湖は法律上「一級河川」として扱われます。
河川法では「自由使用の原則」があり、散歩や釣りと同じように、個人的な趣味でドローンを飛ばすだけなら、基本的には河川管理者の許可は不要です。
しかし以下のような場合は、例外的な手続きが必要になります。
河川占用許可(河川法第24条)が必要なケース
ドローンの離発着場としてテントやカラーコーンを置き、一定の場所を排他的・継続的に占有する場合
※ 一時使用届を提出したからといって、他者を排除して独占的に使用することは認められません。排他利用には占用許可が必要です。
一時使用届の提出が必要なケース
- イベントとしてドローンレースや撮影会を開催する場合
- 業として大掛かりな撮影を行う場合
- テントや撮影機材などの簡易な工作物を、短期間(概ね1日以内)設置して撮影する場合
注意:国管理エリアの原則飛行禁止ルール
国(国土交通省 近畿地方整備局 琵琶湖河川事務所)が管理する「瀬田川」や「野洲川」の河川区域内においては、原則ドローン等の飛行は自粛が強く求められています。
これは周辺住民への危険・迷惑防止や河川施設管理を目的とするものであり、航空法の許可の有無にかかわりません。
飛ばす前に必ず管轄管理者を特定しましょう。
③ 施設管理者による規制(公園・道路・水泳場など)
琵琶湖周辺の陸地からドローンを離発着させる場合、その土地の管理者のルールに従う必要があります。
特に注意すべきは以下の場所です。
都市公園(湖岸緑地など)
滋賀県内には多くの湖岸緑地があります。
県営都市公園である「湖岸緑地」(指定管理者:西武造園など)でドローンを飛行させる場合は、事前に「都市公園内行為許可申請書」の提出が必要です。
また飛行当日は、発行された「行為許可書」の携帯が義務付けられています。
無断での利用は条例違反となる可能性があります。
一方、「大津市立の都市公園(大津市都市公園条例第3条)」においては、業としての写真・映画撮影には許可申請が必要です。
ですが、個人の趣味的な撮影やスナップ写真等は、原則として許可申請が不要とされています。
公園の管理者ごとにドローンの取り扱いが大きく異なるため、混同しないように確認しましょう。
観光施設
比叡山ドライブウェイやボートレースびわこなどの施設内は、安全面・保安上の理由から全面的にドローン飛行が禁止されています。
宮崎のひと言アドバイス
「空中にドローンがあるから土地の管理者は関係ない」と勘違いされる方が多いです。しかしドローンは、「飛行(通過)させる上空の土地管理者の許可(または同意)」が重要です。
公園の管理事務所に電話で「ドローンを飛ばしたいのですが」と確認するひと手間が、大きなトラブルを防ぎます。
④ 小型無人機等飛行禁止法と滋賀県警の規制
令和8年(2026年)の法改正により、重要施設周辺の飛行規制がさらに強化されています。
滋賀県内には、大津駐屯地、今津駐屯地、饗庭野演習場などの陸上自衛隊の施設があります。
自衛隊など重要施設の敷地および周囲約1,000mの上空は小型無人機等飛行禁止法により飛行が禁止されています。

レッドゾーンでの無断飛行は一発で逮捕・罰則の対象です。
ただし飛行させるエリアに応じて、以下の手続きを正しく行うことで、例外的に飛行させることが可能です。
敷地・区域(レッドゾーン)を飛行させる場合
飛行予定日の10営業日前までに、自衛隊施設などの対象施設管理者から「飛行の同意」を得る必要があります
周囲約1,000mの周辺地域(イエローゾーン)を飛行させる場合
飛行させる土地の所有者・占有者(自身が所有・占有している場合を含む)、またはその同意を得た操縦者であれば、対象となる土地の上空を飛行させることが可能です。
その場合、自衛隊側の「施設管理者の同意」を別途得る必要はありません。
共通して必要な警察への通報手続き
まず上記の施設管理者、または土地所有者などの同意を得る必要があります。
その上で、飛行を開始する48時間前までに、管轄の警察署(大津警察署や高島警察署など)を経由して滋賀県公安委員会へ「通報書」を提出してください。
なお通報は、e-Govでのオンライン提出も可能です
琵琶湖でのドローン飛行に関する許可申請・相談窓口

では、実際に琵琶湖でドローンを飛ばすにあたり、どこに相談や申請を行えばよいのでしょうか。
琵琶湖周辺は「滋賀県が管理するエリア(琵琶湖畔の大部分)」と「国が管理するエリア(瀬田川・野洲川など)」で窓口やルールが異なります。混同しないよう注意しましょう。
① 滋賀県管理エリア(琵琶湖畔の大部分や県管理河川敷)
個人的な趣味の飛行などにおいて、滋賀県は実態把握のために、飛行エリアを管轄する各土木事務所の「管理調整課」への届出を求めています。
自身が離発着や撮影を予定しているエリアを管轄する土木事務所へ、事前に連絡・届出を行いましょう。
- 大津市周辺:大津土木事務所 管理調整課
- 草津・守山周辺:南部土木事務所 管理調整課
- 彦根・湖東周辺:湖東土木事務所 管理調整課
「一時使用届」の提出タイミング
簡易的な撮影機材を一時的に置くなどの場合は、管轄の土木事務所(管理調整課)へ届出を行います。
提出期限は一般的に「飛行予定日の1週間〜10日前(土日祝を除く)」とされています。
ですが、確認をスムーズに行うためにも「約2週間〜1ヶ月前」など余裕を持った事前相談をおすすめします。
② 国管理エリア(瀬田川・野洲川など)
一方、国(国土交通省 近畿地方整備局 琵琶湖河川事務所)が直接管理する「瀬田川」や「野洲川」の河川区域内においては、法律(河川法)でドローン飛行が一律に禁止されているわけではありません。
しかし、周辺住民への危険・迷惑防止や河川施設管理の観点から、ドローンの飛行は「他の河川利用者の安全や快適な利用を妨げる」とされています。
そのため、航空法上の許可の有無にかかわらず、フライトの自粛が強く求められています。
結果、国管理エリアにおいて趣味の空撮目的で「一時使用届」の相談を行っても、認められないケースが極めて多いのが実情です。
「一時使用届」の事前相談のタイミング(国管理エリア)
もし公共事業や取材など、やむを得ない理由により国管理エリア内でフライトさせる場合もあるでしょう。
その場合は、使用予定日の「約3ヶ月前」までに管轄の出張所(大津出張所など)へ事前相談を行うよう、琵琶湖河川事務所の公式ルールで定められています。
県管理エリア(2週間〜1ヶ月前目安)と比べて格段に早い段階での相談・調整が必要になりますので、注意しましょう。
宮崎のひと言アドバイス
行政の窓口に相談する際は、次の内容をまとめた簡単な企画書を持参・添付することをおすすめします。
・いつ
・どこで
・どんな機体を
・何分くらい
・何人で飛ばすのか
例えば、Googleマップに飛行ルートを書き込んだもの等があればいいでしょう。
事前に情報がまとまっていると、担当者も判断しやすいため、手続きがスムーズに進みますよ。
琵琶湖周辺のおすすめドローン空撮スポットと飛行可能エリア

法律やマナーをクリアすれば、琵琶湖は最高の空撮フィールドです。ここではおすすめのスポットと、土地交渉なしで飛ばせる専用施設をご紹介します。
絶景が撮れる琵琶湖周辺のフォトジェニックなエリア
マキノ高原のメタセコイア並木(高島市)
四季折々の表情を見せる絶景スポット。
撮影の際は、並木が縦貫する農業公園「マキノピックランド」に事前に問い合わせ、敷地(栗園など)からの撮影・離発着の許可を得る必要があります。
道路上空の飛行や観光客の頭上飛行にならない配慮も必須です。
海津大崎の桜並木
春にはコバルトブルーの湖水と桜のコントラストが狙えますが、花見シーズンは非常に混雑します。
「催し物上空の飛行」に該当する可能性があるほか、人や車両から30m未満に近づく「30m未満の飛行」に該当します。そのため国交省への事前申請や、入念なリスク見積もりが必須です。
公式にドローンが飛ばせる専用施設・キャンプ場
面倒な土地管理者への交渉なしで飛ばせる専用施設です。
※ 屋外施設のため、目視外飛行や夜間飛行などの「特定飛行」を行う場合は、通常通り国交省への航空法申請が必要です。
デルフリキャンプ&ドローンパーク(長浜市)
大自然のなかでフライトを楽しめますが、「民家やその周辺上空の飛行は一律禁止」という絶対ルールがあります。
また100g未満のトイドローンは、飛行不可となっています。必ず機体登録・リモートID搭載機のドローンを持参しましょう。
なお利用料は1機3,000円です。
宮崎のひと言アドバイス
湖上でのフライトは、「風」との戦いです。
湖面には急な突風が吹くことがあり、バッテリーの消耗も平地より激しくなります。いきなり湖のど真ん中に飛ばすのは避けましょう。
まずはデルフリキャンプなどの専用施設で、風への対応やリターントゥホーム(自動帰還)の動作テストを、済ませておくのをおすすめします。
琵琶湖でドローンを飛ばす際の注意点とマナー

ルールを守るだけでなく、周囲への配慮(マナー)が今後も継続してドローンを飛ばすためには不可欠です。
以下のポイントには十分に注意してください。
周辺住民や他の河川利用者への配慮
エリ(定置網)周辺での飛行は避ける
琵琶湖には伝統的な漁法である「エリ」が多数仕掛けられています。
ドローンが墜落して網を傷つけたり、漁の邪魔をしたりする行為は当然ながら避けましょう。
野鳥や自然環境への影響
琵琶湖は水鳥の重要な生息地です。
鳥の群れにドローンを近づけてパニックにさせるような飛行は、動物愛護や環境保護の観点から厳に慎むべきです。
花火大会などのイベント時
びわ湖大花火大会などの開催時、会場周辺での無許可ドローン飛行は「催し場所上空での飛行」「夜間飛行」として明確な航空法違反です。
大会が中断する原因にもなるため絶対にやめましょう。
違反時の罰則とトラブル回避のポイント
もし法律を知らずに違反してしまった場合、以下のような厳しい罰則が待っています。
■航空法違反
最大50万円の罰金
■小型無人機等飛行禁止法違反
1年以下の拘禁刑 または 50万円以下の罰金
■滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例違反
ボートなどを利用して水上から空撮を行う際、危険な航行やルール違反があった場合の航行禁止命令や罰則
宮崎のひと言アドバイス
トラブルを回避するための一番の対策は、「第三者への声がけ」と「ドローン保険への加入」です。
飛ばす前に近くにいる釣り人や散歩中の方に「少しの間、撮影でドローンを飛ばします。うるさくてすみません」
と一言かけるだけで、通報される確率はグッと下がります。
また、万が一の水没や人・物への衝突事故に備え、法律上の義務ではないですが、賠償責任保険(ドローン保険)への加入は、実務上「必須」といえるほど強く推奨されます。
琵琶湖のドローン飛行に関するよくある質問(FAQ)

最後に、琵琶湖でのドローン飛行に関するよくある疑問にお答えします。
Q. 100g未満のドローンなら、どこでも許可なしで飛ばせる?
A. いいえ、飛ばせません。
確かに、100g未満のドローンは「航空法」の対象外にはなります。
しかし「小型無人機等飛行禁止法(自衛隊周辺などの規制)」や、「都市公園条例」、「民法(土地所有権)」の対象には含まれます。
よって、「100g未満なら許可不要でどこでも飛ばせる」というのは誤りであり、施設管理者の許可や警察への通報は同様に必要なケースが多いです。
Q. 琵琶湖の湖上でボートに乗りながら、ドローンを飛ばすのは違法?
A. 基本的に違法ではありませんが、高度な技術と注意が必要です。
琵琶湖は海ではないため港則法などは適用されません。ですが、滋賀県独自の「琵琶湖等水上安全条例」や「琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」が適用されます。
他の船舶の航行を妨げたり、危険な航行をしたりする行為は禁止されており、違反した場合は「航行禁止命令」や罰則の対象となります。
また、揺れるボート上への離発着はGPSやコンパスが定まりにくく、水没リスクが極めて高いため、初心者にはおすすめできません。
Q. 趣味での空撮と、業務での空撮で手続きは異なる?
A. 航空法上の許可基準は同じですが、土地の利用手続き(公園の許可など)で違いが出ます。
例えば、大津市の都市公園条例では、「業として写真又は映画の撮影」を行う場合、行為許可申請とともに「1件につき1日 5,000円」などの公園使用料が発生します。
趣味なら無料・届出のみで済む場所でも、YouTubeなどの収益目的の場合は「業(ビジネス)」とみなされ、有料の許可申請が必要になることがあるため注意が必要です。
まとめ

琵琶湖でドローンを飛ばすための法律やルール、手続きについて解説しました。ポイントを振り返りましょう。
■航空法
人・物件の30m以内、夜間、目視外飛行などはDIPS2.0で許可承認が必要(離発着地がDID地区かどうかも要確認)。
■河川法・公園条例
排他的に占有する場合は「河川占用許可」が必要。一時的に使用する場合や、県営の湖岸緑地で離発着する場合は「一時使用届」や「行為許可」が必要。
(※瀬田川や野洲川などの国管理エリアは、原則飛行自粛・禁止されている点に注意)
■警察への通報
自衛隊の施設周辺(約1,000m以内)は法律で飛行禁止。
敷地内(レッドゾーン)を飛ばす場合は「10営業日前までの施設管理者の同意」が必要。
周辺地域(イエローゾーン)を飛ばす場合は「土地所有者等の同意(または自身が所有)」が必要です。
その前提をクリアした上で、実際に飛行を開始する「48時間前」までに管轄の警察署を経由して公安委員会へ通報する必要があります。
■マナーの徹底
エリ(定置網)や野鳥、周辺住民への配慮を忘れずに。
絶景が広がる琵琶湖は、ドローンユーザーにとって最高のロケーションです。だからこそ、ルールを正しく理解し、安全に配慮した飛行を心がけることが大切です。
最後までご覧いただきありがとうございました。ドローン専門行政書士の宮崎がお伝えしました。