こんにちは。ドローン専門行政書士の宮崎です。
学校でドローンの撮影を行う場合、どのような許可が必要になるかご存知でしょうか。
運動会や人文字の撮影などでドローンを活用する学校が増えています。しかし学校での飛行には、一般的なルールとは異なる独自の規制が存在します。
本記事を読めば、学校でのドローン撮影に必要な許可や申請手順を正しく理解できます。安全かつ適法に撮影を実施するためのポイントを専門家の視点から解説します。
学校でのドローン撮影に必要な3つの許可・承認と「申請先」

学校の敷地内でドローンを飛ばすためには複数の許可が必要です。
航空法だけでなく、施設管理の観点からも手続きが求められます。具体的には以下の手続きが必要です。
- 国土交通省への航空法の許可や承認の申請
- 学校長や教育委員会などへの施設使用の同意取得
- 管轄の警察署や自治体への届出や許可申請
| 許可・承認の種類 | 申請先・確認先 | 主な目的 |
| 航空法の許可・承認 | 国土交通省のシステムDIPS2.0 | 航空法上の安全確保と規制解除 |
| 施設管理者の同意 | 学校長や教育委員会 | 施設管理権限に基づく敷地内上空の使用許諾 |
| 自治体条例や警察への届出 | 管轄の自治体や警察署 | 公園条例の確認や周辺警備情報の事前共有 |
宮崎のひと言アドバイス
学校の隣にある公園からドローンを離陸させるケースもよくあります。この場合は学校の同意だけでなく、自治体の公園条例に基づく事前の許可も必要になります。
学校での飛行は「1年間有効な包括申請」ではNG?

航空局標準マニュアルの制限(飛行NGの理由)
国土交通省の飛行許可には個別申請と包括申請の二種類があります。
一年間有効な包括申請を取得していれば、どこでも飛ばせると誤解されがちです。しかし包括申請を使用する際の航空局標準マニュアルには、明確な制限があります。
学校や病院など、不特定多数の人が集まる場所の上空や付近では飛行させない、というルールです。したがって包括申請の許可だけでは、原則、学校でドローンを飛ばせません。
なお標準マニュアルの規定により、「休校日や早朝など第三者がいない時間帯」に限定し、立入制限等を徹底する場合は包括申請の範囲で飛べるケースもあります。
ただし平日の授業中や、人がいる時間帯の撮影には適用できません。
個別申請(独自飛行マニュアル)の作成と必要性
学校で授業中や人がいる時間帯などにドローンを飛ばすためには、場所と日時を特定した「個別申請」を行わなければなりません。
あるいは、標準マニュアルの制限を解除した「独自マニュアル」を作成して申請する方法もあります。
いずれの場合も、生徒などの第三者の上空を飛ばさないための安全区画の設定や、補助員を増員するなどの安全体制を構築し許可を得ます。
屋内(体育館)での撮影における注意点
体育館などの完全に四方と天井が囲われた屋内での飛行は航空法の規制対象外です。そのため国土交通省への許可申請は不要となります。
ただし施設管理者の同意は、屋外と同様に必ず取得しなければなりません。
宮崎のひと言アドバイス
包括申請を持っているから大丈夫と安易に撮影を請け負う業者もいます。学校側は業者が学校専用の個別申請を行っているか確認することが大切です。
重量「100g未満」のドローンなら許可は不要になる?

100g未満は航空法の「無人航空機」から適用除外
機体重量が100g未満のドローンは、航空法における無人航空機ではなく模型航空機として扱われます。
そのため機体登録や、特定飛行の許可承認申請は原則として不要です。
なお空港周辺や150m以上の高高度飛行など、一部の空域では100g未満であっても個別の手続きが必要になる場合があります。
100g未満でも小型無人機等飛行禁止法などは適用される
100g未満のドローンはたしかに航空法は対象外ですが、次の法律やルールは重量に関係なく適用されます。
- 小型無人機等飛行禁止法による重要施設周辺の飛行禁止
- 電波法に基づく技適マークの取得義務
- 民法に基づく土地所有者の権利とプライバシーの保護
- 自治体条例による公園などの利用制限
屋外での人文字撮影には不向き
100g未満のドローンは風に弱く、屋外での飛行は非常に不安定です。
カメラの性能も業務用水準には達していないことが多いです。
そのため数百人が集まる人文字の撮影などでは、安全面や画質の面から適していません。
宮崎のひと言アドバイス
免許不要だからと軽量なトイドローンを持ち込んで撮影しようとするケースがあります。しかし風に流されて接触事故を起こすリスクが高いため、屋外の業務撮影では絶対に避けるべきです。
人文字や記念撮影を安全に行うための条件

第三者管理と立入管理区画の物理的な設定
ドローンを安全に飛行させるためには、第三者の立ち入りを防ぐ区画の設定が必要です。
学校の敷地内であっても、飛行に直接関与しない生徒や教職員は第三者として扱われます。
カラーコーンや既存のフェンスを活用して物理的な境界線を明確にし、誰も入れない空間を作ることが審査を通過するポイントです。
万が一に備えた実効性のある「補助員の配置」
安全管理において補助員の存在は極めて重要です。
補助員は単に立っているだけでなく、周囲の状況を監視する必要があります。第三者が区画に近づいた場合には、即座に操縦者に連絡し飛行を中止させる権限と責任を持ちます。
宮崎のひと言アドバイス
学校は関係者が多いため立入管理区画の管理が難しくなります。事前の周知徹底と動線の確保が安全な撮影の基本です。
学校での撮影に「ドローンの操縦資格」は必要?

ドローン操縦・撮影における資格の法的要件
ドローンを操縦すること自体に必須の免許や資格はありません。
ただし航空法の特定飛行を行う場合は、必要な知識や能力を有しているか審査されます。
国家資格(無人航空機操縦士)や民間資格を持つメリット
二等無人航空機操縦士などの国家資格と対応機体を組み合わせることで、一部の飛行申請が不要になるメリットがあります。
また資格の保有は、一定の技術と知識があることの客観的な証明になります。これは施設管理者との調整を、円滑に進めるうえで役立つでしょう。
学校側が業者選定で重視すべき「個別申請の実績」
学校側が撮影を外部に依頼する際は、業者が保有する資格だけでなく、実務経験の程度を確認することが重要です。
特に、学校などの特殊な環境下での個別申請を通した実績があるかどうかが、安全な撮影を任せられる重要な目安になります。
宮崎のひと言アドバイス
優良な業者は、無理な撮影要請に対して法的な根拠などをもってお断りする判断ができます。撮影の可否を事前にしっかり検討してくれる業者を選んでください。
ドローン撮影の許可申請から実施までの5ステップ

学校でのドローン撮影を、スムーズに進めるための手順をまとめました。
ステップ① 事前計画と施設管理者への同意取得
撮影の日時や飛行経路などの具体的な計画を明確に定めます。
その計画をもとに、学校長や教育委員会などから施設使用の同意を書面で取得します。
人が少ない休校日などを選び、安全対策をすり合わせることが大切です。
ステップ② DIPS2.0を通じた飛行許可・承認申請
国土交通省のシステムであるDIPS2.0を利用して個別申請を行います。
無許可で特定飛行を行った場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
審査には時間がかかるため余裕をもって申請してください。
ステップ③ 飛行計画の通報と関係機関への周知
許可取得後も実際の飛行前に、DIPS2.0で日時や経路を通報する義務があります。飛行計画の通報を怠ると30万円以下の罰金の対象となります。
あわせて近隣住民や管轄の警察署への周知も行いましょう。
ステップ④ 飛行前の機体点検と安全確認
撮影当日は飛行前に必ず機体の日常点検(外部点検・作動点検)を実施し、その結果を日常点検記録に書き残します。
天候や風速に問題がないか確認し、補助員を所定の位置に配置します。
日常点検記録など、飛行日誌の記載を怠った場合も10万円以下の罰金が科せられます。
ステップ⑤ 飛行の実施と飛行日誌の作成
安全が確認できたら飛行を開始し、終了後は速やかに飛行日誌に実績を記載します。飛行日誌を備えない場合や、記載漏れがある場合も10万円以下の罰金となります。
万が一事故が起きた場合は、直ちに国土交通省へ報告する義務があります。
宮崎のひと言アドバイス
天候不良でドローンが飛ばせず、撮影が延期になることは珍しくありません。申請時には予備日も含めて、余裕のあるスケジュールを組むことをお勧めします。
学校でのドローン撮影に関するよくある質問(FAQ)

Q. 運動会の最中など、不特定多数の人が動いている状況での撮影は可能?
A. 非常に困難です。
運動会は、航空法における「催し場所上空の飛行」に該当する可能性が高い行事です。
第三者の上空を飛行させないための厳格な立入管理区画の設定や、機体の係留措置などが求められます。よって、現実的な実施のハードルは極めて高くなります。
Q. 許可申請を忘れたまま無許可で飛ばした場合の罰則は?
A. 航空法の規制対象となる飛行を無許可で行った場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また機体登録を行っていないドローンを飛ばした場合も、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となります。
宮崎のひと言アドバイス
知らなかったでは済まされないのがドローンの法律です。少しでも不安がある場合は事前に専門家や関係機関に相談してください。
まとめ

学校でのドローン撮影は包括申請だけでは実施できず個別の安全対策と許可申請が必須です。施設管理者との調整や周辺への配慮など通常の空撮以上に綿密な準備が求められます。
安全を最優先に考え法令を遵守した上で素晴らしい映像を残してください。何か不明な点があれば、お近くの専門家へ相談されることをお勧めいたします。