山のドローン許可はどう取る?国有林のルールと150m制限の注意点を徹底解説

山のドローン許可はどう取る?国有林のルールと150m制限の注意点を徹底解説

こんにちは、ドローン専門行政書士の宮崎です。

次のような疑問や不安を抱えていませんか?

「山でドローンを飛ばしたいけど、どんな許可が必要なのかわからない」

「100g未満のドローンなら自由に飛ばせる?」

「深い山の中なら無許可でもバレないのでは?」

実は、山のドローン空撮には、航空法だけでなく「土地のルール」や「自然保護のルール」など、多くの法律が絡み合っています。

知らずに飛ばしてしまうと、不法侵入や航空法違反で罰せられる、または重大な事故を引き起こすリスクがあります。

ここでは、「こんな場合どうするの?」といった細かな疑問を解決。安心・安全に山の空撮を行うための情報をまとめました。

本記事を読めば、許可申請の手続きがわかり、山の絶景スポットの撮影ができるようになります。

山でドローンを飛ばすには許可が必要?

ドローンを使ったスマート林業

結論からお伝えします。山でドローンを飛ばすには、原則として「許可や届出」が必要です。

山岳地帯は都市部のように人が密集していません。よって、「人口集中地区(DID)」に該当しないエリアが多く、一見すると制約なく自由に飛行させられると誤解されがちです。

しかし日本国内の山林においては、「所有者および管理者の存在しない土地」は原則として存在しません。

すべての山林は次のように分類されており、土地管理者による独自の管理権限が及んでいます。

  • 国有地(国が所有・管理する山林)
  • 地方自治体所有の公有地
  • 個人・企業・社寺などが所有する私有地

国土交通省から航空法に基づく飛行許可・承認を得ていても、それは「空域の飛行に関する最低限の航空法上のクリア」に過ぎません。

地表の管理者からの「土地の使用承諾」や「立ち入りの合意」がなければ、不法占有や不法侵入に問われる可能性があります。

宮崎のひと言アドバイス

現場でもっとも多い勘違いが「DIPSで包括申請の許可を取ったから、日本のどこでも飛ばせる」という思い込みです。

包括申請はあくまで航空法上の許可であり、「飛ばす土地の所有者の許可」はまったくの別問題です。

実際、こうした誤解から、所有者に無断でドローンを飛ばしてしまうケースはよくあります。そこから思わぬトラブルに発展することも少なくありません。

山でのドローン飛行に関わる3つの法律と許可申請先

山岳空撮や調査において、操縦者が遵守すべきルールは、次の3層のレイヤーで構成されています。

  • 国の法律
  • 地域・環境の法律
  • 土地のルール

まずはこの全体像を把握しましょう。

山でドローンを飛ばす3つのルール

国の法律

「国の法律」とは主に以下の3つなどのことです。各機関に申請・確認・通報をしてください。

■航空法(許可・承認申請)
国土交通省(DIPS 2.0オンライン申請)、管轄空港事務所

■小型無人機等飛行禁止法(事前通報)
管轄警察署(都道府県公安委員会などへの通報窓口)

■電波法(技適などの確認)
総務省(総合通信局)

地域・環境の法律

地域・環境の法律とは、自然公園法、文化財保護法、地方自治体条例などのことです。

環境省(地方環境事務所・自然保護官事務所など)、各自治体の文化財保護担当課、公園管理窓口などへの確認を行ってください。

土地のルール

土地のルールとは、民法上の土地所有権、森林法などのことです。

林野庁(管轄森林管理局・森林管理署)、地方自治体(公有林管理部署など)、民間地権者からの承諾を得てください。

宮崎のひと言アドバイス

この「3層構造」を理解することがドローン法務の第一歩です。

「どこに聞けばいいかわからない」と迷ったときは、まず「その土地は誰のものか(土地のルール)」から調べるようにしましょう。

山の管理者別:許可申請・届出の具体的な手順

山でドローンを飛ばすための「土地のルール」は、山の所有形態(国有林、公有林、私有林)によって大きく異なります。

それぞれの具体的な手続きを見ていきましょう。

山でのドローン飛行申請ガイド

1. 国有林の場合:「入林届」の提出

日本国内の主要な山岳、特に深山や国立公園指定地域の多くは「国有林」です。

国有林内でドローンを飛行させる場合は、原則として事前の手続きが必要です。管轄の「森林管理局」または「森林管理署」に対し、「無人航空機を飛行させる場合の入林届」を提出してください。

許可証ではない

入林届は「飛行計画の報告を受理した」という事実を示すものであり、飛行中の事故に関する責任は100%操縦者が負います。

提出時期と方法

入林予定日の1〜2週間前(5〜7開庁日前)までに、持参、郵送、またはメールなどで提出します。郵送での返送を希望する場合は返信用封筒(110円切手など)が必要です。

直前の連絡義務

入林届が受理された後も、フライト当日または前日には、必ず管轄の森林管理署などへ直接電話連絡を入れる義務があります。

現場の伐採作業やヘリの運航状況により、急遽飛行自粛を要請されることがあるためです。

2. 公有林・私有林(民有林)の場合:自治体・地権者の許可

公有林および私有林は「民有林」に分類され、それぞれの管理者や所有者に直接連絡して許可を取る必要があります。

公有林(都道府県・市区町村所有)

林務課や観光課など、その土地の管理権限を持つ担当部署に相談します。

自治体によっては書面による「一時使用届」などの提出を求めるケースや、条例で一律禁止されているケースもあります。

私有林(個人・企業・社寺など所有)

民法第207条に基づく土地所有権の範囲として、地権者からの明示的な「使用承諾」が必要です。

承諾なく飛行や立ち入りを強行すれば、建造物侵入罪や軽犯罪法違反、民事上の損害賠償請求などに発展するリスクがあります。

3. 飛ばす山が「誰の所有か」を調べる方法

「飛ばしたい山が誰のものかわからない」という壁にぶつかる方は多いです。以下のステップで確認しましょう。

■国土交通省のウェブマップを活用して大まかに把握する
まずは国土交通省の「国土情報ウェブマッピングシステム」や「地理院地図」を開きます。

そこで土地利用区分や国有林野レイヤーを表示させ、飛行予定地が国有林に含まれるか大まかに確認してください。

■林野庁の公式図面で正確な境界を特定する
各森林管理局(林野庁)のホームページで公開されている「国有林野施業実施計画図(2万分の1等)」や「管内図」を照合し、詳細な境界線を確認します。

■自治体(市町村役場)や観光協会へ問い合わせる
国有林から外れている場合は、まず対象地域の市町村役場に問い合わせて公有林か私有林かを確認します。

私有林の場合、地元の観光協会や管理組合に相談することで、所有者の連絡先を把握できるケースが多いです。

人気の山岳エリア・国立公園におけるドローン飛行のルール

CHECKで確認作業のイメージ

自然公園法などの網がかかる国立・国定公園では、環境保護や利用者の安全のため、厳格な自主ルールやエリアガイドラインが敷かれています。

北アルプス(中部山岳国立公園)の現状

上高地などの密集地帯は「NO DRONE ZONE」に設定されており、原則として飛行は自粛要請されています。

また北アルプスの高山帯では、山小屋への物資輸送や救助活動のための民間ヘリコプターが頻繁に運航しています。

ドローンと有人ヘリの衝突は、大事故を招く恐れがあります。そのため、山小屋周辺で飛行させる場合は、事前にその山小屋などへ連絡を入れることが必要です。

加えて、ヘリの運航スケジュールと細密な時間調整を行うことが事実上の必須ルールとなっています。

ライチョウなど希少野生動物の繁殖期(春夏)の飛行も全面的に避ける必要があります。

八ヶ岳・美ヶ原エリア

美ヶ原地域の草原・牧場エリアでは、管理者の美ヶ原農業協同組合によってドローンの飛行が全面的に禁止されています。

これはドローンの騒音で、牛などの家畜がパニックになり、暴走して負傷する事故を防ぐためです。

また霧ヶ峰・白樺湖周辺では、個人による趣味目的のレクリエーション飛行は原則として不可です。学術や公的な目的のみ許可される厳しいルールが運用されています。

四阿山(あずまやさん)などの百名山

登山口に位置する牧場などの私有地から離着陸する場合、管理組合や牧場主からの明確な承諾が必須です。

近年は、野鳥観察者からの風切音への苦情や、露天風呂がある宿泊施設からのプライバシー侵害を懸念する通報が増加しています。

そのため、トラブルを防ぐ目的でドローン飛行を「一律禁止」とする地権者が増えています。

宮崎のひと言アドバイス

「神社・お寺」が所有する山林や境内地(私有地)では、管理者が独自に敷地・上空でのドローン飛行を禁止する看板を掲示しているケースが少なくありません。

「国立公園だから環境省にだけ聞けばいい」と勘違いされがちですが、環境省はドローンの許認可窓口ではありません。ですので、必ず「土地の所有者」への直接確認が必要です。

登山向け100g未満なら許可なしで飛ばせる?

「100g未満のトイドローンなら航空法の対象外だから、どこでも自由に飛ばせる」と思われがちです。しかしこれは大きな誤解であり、危険です。

ドローンの法律・ルール比較

航空法の一部規制からは外れるが「完全自由」ではない

たしかに、100g未満の機体は「模型航空機」に分類され、国交省への「機体登録」や「特定飛行の許可申請」は不要です。

しかし「小型無人機等飛行禁止法」は、100g未満であっても例外なく一律に適用されます。

2026年7月の法改正により、自衛隊施設などの周辺飛行禁止エリアが、従来の300mから「おおむね1,000m」へ大幅に拡大されました。

同意や事前通報を得ていない場合の「直罰」は、この新しく拡大された範囲にも一律で適用されます。

ですので、山岳地帯であっても重要施設が近い場合は、厳格に罰則の対象となる可能性があります。

山の「土地の管理者」の許可は重量問わず必要

前述した「入林届」や、自治体・地権者の許可といった「土地管理のルール」は、機体の重量に関わらず適用されます。

国有林においては、100g未満のトイドローンであっても一貫して入林届の提出を求めています。重量が軽いからといって、無断で飛ばしてよい理由にはなりません。

宮崎のひと言アドバイス

「トイドローンならバレないだろう」と安易に考えるのは禁物です。

万が一事故を起こした際、100g未満であっても土地の管理者から損害賠償を請求されるリスクは変わりません。

航空法における「山特有」の注意点(高度150m制限)

虫眼鏡とびっくりマーク

航空法が規定する空域制限のうち、山岳エリアで一番注意すべきなのが「地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行制限」です。

山における「地表から150m」の考え方

航空法で定める150m制限は、GPSで表示される「海抜(標高)」ではなく、ドローンが浮いている位置の「直下の地表からの垂直距離(地表等高度)」を指します。

平地であれば問題ありませんが、起伏の激しい山では罠が潜んでいます。

山頂や稜線から谷側に向かってドローンを水平方向に前進させた場合、機体の高度を変えていなくても、直下の地表が急に下がります。

そのため、意図せず「地上からの高さが150m以上」に達してしまい、無自覚な航空法違反に陥ってしまうのです。

宮崎のひと言アドバイス

「アプリの高度計(離陸地点からの相対高度)が100mだから大丈夫」と思い込んでいる操縦者が多いです。

プロの現場では、谷側へ飛ばす際、事前に3Dマップで地形の断面図を確認します。その上で、「どこまで前進すると地表から150mを超えるか」の限界ラインを計算してからフライトに臨みます。

高度150m以上で飛行させる場合の申請先

山岳の全景を捉えるためなどで、どうしても直下の地表から150m以上の高高度を飛行させたい場合、一般的な「包括申請」では許可されません。

この場合、まず飛行予定空域を支配・管制する、航空交通管制部や自衛隊などの「管制機関」と事前の調整・協議を完了させる必要があります。

その後、調整結果を添えてDIPS 2.0を通じて「東京空港事務所(東日本管轄)」、または「関西空港事務所(西日本管轄)」へ個別申請を行い、承認を得る必要があります。

山岳エリアでドローンを安全に飛ばすための4つの対策

「POINT」と印字された単語帳

許可を得たとしても、自然の脅威に対する安全管理ができなければ事故に直結します。山岳エリア特有のリスクと対策を把握しましょう。

1. 天候の急変と「風」への対策

山の天気は急変しやすく、特に稜線(尾根)付近では突発的な強風が発生します。

また標高の高い場所は、平地よりも空気密度が低いため、ドローンのプロペラが発生させる揚力が低下します。

これによりバッテリーの消費が早まるだけでなく、強風に対抗する「耐風性能」も取扱説明書のスペック以下に低下します。ですので、二重の注意が必要です。

事前の風速予報のチェックはもちろん、上空で少しでも機体が流される様子があれば、直ちに帰還させる決断力が必要です。

2. トンビやタカなど「野鳥の攻撃」への警戒

山間部では、猛禽類(タカ、トンビ、ワシなど)の縄張りにドローンが侵入してしまうことがあります。

野生動物の繁殖期などは特に敏感で、ドローンを外敵とみなし攻撃を仕掛けてくることがあります。

鳥が旋回し始めたら、すぐに高度を下げて撤収するのが鉄則です。

3. 電波ロスト・GPS障害への備え(RTHの高度設定)

山の斜面や木々に機体が隠れると、送信機との電波が途切れることがあります。

このとき、自動帰還機能(RTH:Return to Home)が作動しますが、RTHの帰還高度設定が低いと、帰還する途中で山肌や木に激突します。

周囲のもっとも高い木や地形の標高を考慮し、十分な高さにRTH高度を設定しておく必要があります。

4. 墜落時の回収リスクと遭難対策

ドローンが墜落した場合、急斜面や谷底に滑落した機体を無理に回収しようとして、操縦者自身が滑落遭難する二次災害が起きています。

回収が危険と判断した場合は潔く諦め、直ちに管轄の森林管理署などへ「回収不能となった位置と経緯」を報告してください。

宮崎のひと言アドバイス

ドローンのバッテリーは寒冷地(特に標高の高い山)では急激に電圧が低下し、表示残量が30%あっても突然墜落することがあります。

バッテリーは、飛行直前まで体温やカイロで直接当てないように温めておき、残量50%での帰還を心がけるのが基本です。

登山・山岳空撮に関する質問(FAQ)

ドローンとQ&Aの文字

Q: 誰もいない深い山の中なら、無許可で飛ばしてもバレませんか?

A: 非常に危険な考え方です。

近年はSNSやYouTubeにアップロードされた動画の背景やGPS情報から飛行場所が特定され、地元住民などからの通報によって警察などの調査が入るケースが増えています。

また万が一、山火事やヘリとのニアミスを起こした場合、莫大な損害賠償と刑事罰に問われます。コンプライアンス遵守は必須です。

Q: 登山道から離着陸させてもいいですか?

A: 原則としておすすめしません。

登山道は公共の通行路であり、他の登山者の通行の妨げや騒音によるトラブルの原因となります。

基本的には管理者の許可を得た上で、人のいない安全な広場などを確保して離着陸を行ってください。

まとめ

飛行するドローンと「まとめ」の文字

本記事では、山岳エリアでのドローン飛行に必要な許可・届出手続きや、注意すべきルールについて解説しました。

ポイントをもう一度整理します。

  • 山でのドローン飛行は「国の法律」「地域・環境の法律」「土地のルール」の3つの許可・確認が必須。
  • 国有林を飛行させる際は、事前に「入林届」の提出と、直前の電話連絡を必ず行う。
  • 公有林・私有林(神社や牧場含む)の場合は、それぞれの土地管理者・所有者から明示的な使用承諾を得る。
  • 100g未満のドローンであっても、「小型無人機等飛行禁止法」や「土地のルール(入林届など)」は例外なく適用されるため、無許可飛行は厳禁。
  • 航空法の「150m制限」は「地上からの高さ(地表等高度)」であるため、谷側へ飛ばす際は高度超過に十分注意する。
  • 突風、野鳥の攻撃、電波ロストなどの山特有のリスクに備え、墜落時は人命優先・安全第一で対処する。

山の絶景を空撮で残す体験は素晴らしいものですが、それは法令遵守と周囲への配慮があってこそ成り立ちます。

手続きを面倒だと感じず、「安全なフライトのための段取り」と捉え、しっかりと準備を行ってから撮影に臨んでください。

最後までご覧いただきありがとうございました。ドローン専門行政書士の宮崎がお伝えしました。

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