ドローンに新しいカメラを取り付けたり、非純正のプロペラガードを装着したりした際、
「これってドローンの機体登録を変更しないといけないの?」
「そのまま飛ばしたら法律違反になる?」
と不安に思ったことはありませんか?
実は、航空法におけるドローンの「改造」には厳密なルールがあり、気づかないうちに「未登録機体による違法飛行」となってしまうケースが後を絶ちません。
本記事では、「ドローン登録における改造の基準」から「DIPS 2.0での変更手続きの手順」、「飛行許可(包括申請)への影響」まで解説します。
この記事を読めば、あなたのドローンが変更手続きを必要としているかが明確になり、合法かつ安全に飛行させるための正しいアクションが取れるようになります。
ドローンの「改造」とは? 登録変更が必要になる基準

ドローンの世界において、「改造」の定義は重要です。
まずは、どこからが登録情報の変更届出が必要な「改造」となり、どこまでが手続き不要な「軽微な変更」なのか、その境界線をしっかり把握しましょう。
登録変更が必要な「改造」の具体例
国土交通省の基準によると、以下のような変更を加えた場合は「改造」とみなされ、事由が発生した日から15日以内に機体情報の変更届出が必要です。
重量・寸法の±10%以上の変動
自作した機体やすでに改造した機体において、登録時に申告した「機体重量」「最大離陸重量」「機体寸法」のいずれかが±10%以上変わる場合。
メーカーが認めていない非純正パーツの装着
「メーカー機」の場合、メーカーが取扱説明書等で認めていない部品を装着した時点で「改造」となります。
(例:純正品以外のカメラ、ランディングギア、レンズフード、外部センサーなどを取り付ける場合など)
動力・操縦方式の根本的な変更(※注意)
エンジン機から電動機への変更や、単発機から双発機への変更など、大規模な改造をおこなう場合は「変更届出」では済みません。同一の機体とはみなされなくなるためです。
現在の機体登録を一度抹消した上で、別の「自作した機体」として改めて新規登録のし直しが必要になります。
ひと言アドバイス
「ただのレンズフードなら大丈夫でしょ?」と軽く考える方が非常に多いです。
非純正のアクセサリーを取り付けた時点で、厳密には「改造」とみなされる可能性があります。
特に飛行許可申請においては「純正外のアプリ(Litchiなど)」を使うだけでも改造扱いになるので要注意です。
登録変更が不要な「軽微な変更」とは
一方で、以下のケースは性能への影響が少ない「軽微な改造(変更)」とされ、DIPS上での変更手続きは不要です。
メーカーが取扱説明書等で認めている範囲の改造
メーカー指定の純正プロペラガードや純正カメラの付け替えなど。これによって±10%以上の重量変動があっても、メーカー推奨範囲なら申告不要です
修理目的の同一部品との交換
破損したプロペラやアームを、まったく同じ純正部品に交換する場合。
ステッカーの貼り付け
機体の重量や空力性能、寸法に実質的な影響を与えない外観の変更。(ステッカーや社名ロゴの貼付、カラーリングなど)
ひと言アドバイス
気をつけていただきたいのは「フライトコントローラーや機体フレームの交換」です。
修理目的であっても、これらを交換して「機体の製造番号(シリアルナンバー)」が変わる場合は、同じ機体とはみなされません。
現在の登録を抹消し、新しい機体として新規登録が必要になります。
改造したドローンの機体登録情報を変更する手順

自分のドローンが「変更届出が必要な改造」に該当することがわかったら、国土交通省のシステム「DIPS 2.0」からオンラインで手続きを行います。
手続きに必要な書類・データの準備
変更申請をスムーズに進めるため、事前に次のものを手元に準備しておきましょう。
- DIPS 2.0のログインIDとパスワード
- 改造後の機体の正確な寸法や重量の数値
- 改造内容がわかる資料(改造の概要説明、必要に応じて写真など)
- 本人確認のための手段(マイナンバーカード、運転免許証、法人の場合はgBizIDなど)
DIPS 2.0での変更申請手続きのステップ
手続きの大まかな流れは以下のとおりです。
- DIPS 2.0へログイン
- 「機体情報・使用者情報の確認/変更」メニューを選択
- 登録済み一覧から、改造した機体を選択し「変更」ボタンを押す
- 「機体情報に変更はありますか?」の設問に「はい」を選択し、変更された重量や寸法、改造の概要を入力
- 本人確認(eKYCやgBizIDなど)を実施
- 送信後、登録メールアドレス宛に届く「到達確認メール」のURLをクリックして完了
ひと言アドバイス
スマホからDIPSを操作する際、本人確認などのために別のアプリ(メールアプリ等)を開くことがあります。
しかしブラウザを離れてから約10秒が経過するとセッションが切れてしまいます。 結果、申請が失敗(エラー)になるシステム上の仕様があるため注意が必要です。
メールがきたら直ちに確認するか、パソコンで操作しながらスマホでメールを見るなど、端末を分けるのがコツです。
改造時の変更申請に手数料はかかる?
結論から言うと、機体登録情報の「変更届出」自体には手数料はかかりません(無料)。
ただし先述したような「動力方式の大規模な変更」に該当し、別機体扱いとなる場合は、改めて新規登録のし直しが必要です。
この手続きには、新規登録手数料(マイナンバーカードによるオンライン申請で900円〜)が別途発生します。
変更手続きが完了したか確認する方法
手続きの最後に行う「到達確認」が完了すると、国交省側で内容の確認(審査)が行われます。 審査期間は数分〜数日程度です。
不備がなければ「変更手続き完了のお知らせ」がメールで届き、DIPS 2.0の申請状況一覧が「手続完了」に変わります。これで安心して飛ばせる状態になります。
改造時の3つの注意点と「変更しないとどうなるか」

改造時の手続きを甘く見ると、後々大きなトラブルに発展します。ここでは3つの重要ポイントを解説します。
変更を怠った場合の罰則
航空法第132条の8第1項により、登録事項に変更が生じた場合は15日以内に変更届出を行わなければならないと定められています。
もし変更届出をせずに大幅な改造機を飛ばした場合、「未登録の無人航空機を飛行させた」とみなされるリスクがあります。
その場合は「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という、非常に重い刑事罰が科される可能性があるため、改造を行えばすぐに変更の届出を行いましょう。
ドローン リモート ID|改造に伴う動作確認と配置の注意点
改造によって機体の形状が変わった場合、外付けリモートIDの搭載位置にも注意が必要です。
通信電波を遮らない場所へ確実に取り付け、飛行前に正常に識別情報が発信されているか確認してください。
ひと言アドバイス
ここでDIPSの引っかけポイントをひとつ。
単にリモートIDの機器情報だけを変更・更新したい場合、DIPSの画面で「機体情報に変更はありますか?」と聞かれます。
ここで正直に「はい」を押してしまうと、機体自体を改造した扱いになってしまい入力が面倒なことになります。
機体そのものの改造がないなら、ここは必ず「いいえ」を選択して、その下にある機体情報の「+」ボタンからリモートID情報だけを編集してください。
取得済みの「飛行許可・承認(包括申請など)」への影響
ドローンの世界では、「①機体登録における改造」と「②飛行許可・承認における改造」で、改造の基準がまったく異なります。
機体登録の基準
メーカー推奨なら、非純正パーツでも重量が変動しても「改造にならない」ことがある。
飛行許可の基準
メーカー推奨であっても、メーカーの標準的な機体構成外(非純正パーツの装着、非純正アプリの使用など)で飛ばす場合は「改造」として扱われます。
すでに包括申請などで飛行許可を取得している機体であっても、「飛行許可上の改造」を行った場合は注意が必要です。 この場合、まずは既存の許可に対する「変更申請」を行わなければなりません。
そのうえで、改造後の機体が安全基準に適合していることを示す詳細な写真や取扱説明書などの資料を、自身で作成・保管(具備)しなければなりません。
加えて、DIPS2.0上で適合している旨を改めて申告する手続きも必要になります。
これを怠ると、無許可飛行(50万円以下の罰金)に問われるため注意してください。
ドローン登録と改造に関するよくある質問(FAQ)

最後に、ドローン登録と改造に関するよくある質問にお答えします。
Q. 自作ドローン(フルスクラッチ)を登録・改造する場合はどうなる?
自作ドローンの場合、基準となる「メーカー公表のスペック」が存在しないため、初回登録時にあなたが申告した「重量・寸法」が基準となります。
そこから±10%以上の変動があった場合は、変更届出が必要です。
なお自作機は、メーカーによる安全性の裏付け(標準仕様)が存在しないため、飛行許可申請の際もより厳格な対応が求められます。
安全基準に適合していることを示す詳細な写真や図面などの資料を自身で作成・保管(具備)し、DIPS2.0上で適合している旨を全て自己責任において申告する対応が求められます。
Q. バッテリーを大容量のものに変えただけでも登録変更は必要?
自作機や改造機においてバッテリーの変更により、機体の重量や最大離陸重量が登録時から±10%以上増加・減少する場合は、変更届出が必要です。
またメーカー機において、取扱説明書等で認められていない非純正バッテリーを使用する場合も、同様に変更届出が必要となります。
Q. 変更申請中(審査中)に改造したドローンを飛ばせる?
飛ばせません。
変更届出や、それに伴う飛行許可の変更申請が完了(審査完了)し、新しい許可書や登録状態が反映されるまでは、改造した状態のドローンを屋外で飛行させることは違法となります。
ひと言アドバイス
「週末の仕事で改造したドローンを使いたいから、今日変更申請を出した!」という方がいます。しかし審査には、数日〜長くて数週間かかる場合もあります。
業務でドローンを運用されている方は、機体を改造する前に「手続きにかかるダウンタイム(飛ばせない期間)」を計算に入れて、余裕を持ったスケジュール管理を行ってください。
まとめ:改造の定義を正しく理解し、安全なドローン運用を

ドローンの改造は、機体登録システム(DIPS)上の変更だけでなく、飛行許可・承認への影響も合わせて総合的に判断しなければなりません。
「これって改造にあたるのかな?」「包括申請の変更の仕方がわからない」と不安な場合は、ご自身で判断せず、ぜひドローン専門の行政書士などにご相談ください。
適切な法務管理で、安全安心なドローンライフを楽しみましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。ドローン専門行政書士の宮崎がお伝えしました。