「ドローンのレベル2飛行(目視内での自動飛行)を行いたいけれど、特別な許可は必要なのだろうか?」と疑問をお持ちではありませんか。
結論からお伝えすると、レベル2飛行(目視内での自動飛行)自体に許可が必要なのではありません。レベル2飛行が航空法で定められた『特定飛行』に該当する場合にのみ、原則、飛行許可・承認が必要になります。
本記事では、ドローンのレベル2飛行の定義や具体的な活用シーンをはじめ、許可が必要なケースと不要なケースの違いについて解説。あわせて、国家資格による手続き免除の仕組みから「DIPS 2.0」を使った申請手順までをわかりやすくお伝えします。
ドローンの「飛行レベル2」とは?定義と活用シーン
ドローンの飛行方法は、技術的な難易度やリスクに応じて「レベル1」から「レベル4」までの4段階に分類されています。まずは「レベル2飛行」の概要と活用シーンを見ていきましょう。
レベル2は「目視内での自動・自律飛行」
レベル2飛行とは、操縦者がドローン本体から目を離さず(目視内)、あらかじめプログラムされたルートに沿って機体を自動で飛ばす飛行方法のことです。
操縦者がプロポ(送信機)のスティックを常に動かす手動操縦(レベル1)とは異なり、GPSなどの制御技術を活用して機体が自律的に動きます。そのため、操縦者の負担を大幅に減らしつつ安全な飛行を実現できるのが特徴です。
主なビジネスでの活用シーン
レベル2飛行は、あらかじめ設定した飛行経路を正確かつ均一に飛ぶことが求められる業務で広く活用されています。代表的なビジネスでの活用シーンは以下の通りです。
- 農薬散布:広大な農地にムラなく一定のペースで農薬を散布する。
- 土木測量:建設現場や土地の上空を往復し、正確な地形データを取得する。
- インフラ点検:ソーラーパネルや建築物の屋根などを、一定の高度と角度で自動巡回して点検・撮影する。
レベル1・3・4との違い(比較表)
ドローンの飛行レベル1〜4の違いを以下の表にまとめました。レベル2が他のレベルとどのように違うのか、一目で確認できます。
| 飛行レベル | 飛行の概要 | 操縦方法 | 目視の有無 | 有人地帯・無人地帯の区別 |
| レベル1 | 目視内での手動操縦 | 手動 | 目視内 | 制限なし |
| レベル2 | 目視内での自動・自律飛行 | 自動 | 目視内 | 制限なし |
| レベル3 | 無人地帯での目視外飛行 | 手動 / 自動 | 目視外 | 無人地帯のみ |
| レベル4 | 有人地帯での目視外飛行 | 手動 / 自動 | 目視外 | 有人地帯を含む(※) |
※ レベル4飛行を行うには、一等資格や第一種機体認証などの厳格な条件をクリアする必要があります。
レベル2飛行で「許可が必要なケース」と「不要なケース」
レベル2飛行を行う際、必ずしも国への許可申請が必要なわけではありません。ここではどのようなときに、許可が必要になるのかを解説します。
注意!「飛行レベル」と航空法の「カテゴリー(特定飛行)」は別物
ドローンを運用する際によくある勘違いは、「レベル2だから許可が必要(または不要)」と思い込んでしまうことです。
「飛行レベル(1〜4)」はあくまで、ドローンの技術的な飛行形態(目視の有無や自動・手動)を示すものです。
一方、航空法で飛行許可・承認の基準となっているのは、飛行のリスクに応じた「カテゴリー(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」ならびに「特定飛行」に該当するかどうかという点です。この2つは、まったく別の概念であることを理解しておきましょう。
許可が不要なケース(カテゴリーⅠ飛行)
航空法における「特定飛行」のルールに一切該当しない場合、レベル2(自動飛行)であっても事前許可は不要です。この状態をカテゴリーⅠ飛行と呼びます。
具体的には、人口集中地区(DID)以外の開けた場所で、日中に、第三者の人や建物、自動車などから30m以上の距離を確保して自動飛行を行う場合などが該当します。
許可が必要なケース(特定飛行に該当する場合)
自動飛行であっても、以下の空域や飛行方法(特定飛行)のいずれかに該当する場合は、あらかじめ国土交通大臣の許可・承認を受ける必要があります。
- 人口集中地区(DID)の上空での飛行
- 夜間での飛行
- 地表または水面から150m以上の空域での飛行
- 人または物件から30m未満の距離での飛行
- 催し場所(イベント等)の上空での飛行
- 危険物の輸送や物件の投下を行う飛行
- 空港等の周辺空域や緊急用務空域での飛行
レベル2飛行を利用する業務(農薬散布による物件投下や、住宅街での屋根点検による30m未満飛行など)の多くは、これらに該当します。そのため実務上は、許可・承認が必要になるケースが多い点に注意してください。
国家資格でレベル2の許可申請が不要になる?(特例の解説)
2022年12月の航空法改正により、一定の要件を満たすことで飛行許可・承認の手続きが免除される仕組みがスタートしました。
二等資格+第二種機体認証で手続きが一部免除に
立入管理措置を講じたうえで、操縦者が国家資格である「二等無人航空機操縦士(または一等)」を保有しており、かつ使用するドローンが国の「第二種機体認証(または第一種)」を受けている場合、特定飛行の一部において事前の許可・承認手続きが免除されます。
免除になる条件(カテゴリーⅡB飛行とは)
この特例によって事前の許可・承認が不要になるのは、特定飛行の中でも相対的にリスクが低いとされる「カテゴリーⅡB飛行」に該当する場合のみです。カテゴリーⅡBには以下の飛行が含まれます。
- 人口集中地区(DID)の上空
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人または物件から30m未満の飛行
※ 注意!引き続き許可が必要なケース(カテゴリーⅡA飛行)
特定飛行のうち、次のリスクが高い飛行(カテゴリーⅡA飛行)を行う場合は、国家資格や機体認証を持っていても、レベル2飛行であっても引き続き個別の飛行許可・承認が必要です。
- 催し場所(イベント)の上空
- 地表から150m以上の空域
- 空港等の周辺
- 危険物の輸送・物件の投下
- 最大離陸重量25kg以上の機体
レベル2飛行の許可・承認の申請手順(DIPS 2.0)
特定飛行に該当し、かつ資格による免除要件を満たさない場合は、国土交通省のオンラインシステム「DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム)」を使って許可・承認申請を行います。
事前準備(機体登録・リモートIDなど)
申請を行う大前提として、飛行させるドローンの「機体登録」を済ませ、機体に登録記号を表示し、原則としてリモートID機器を搭載・機能させておく必要があります。
「個別申請」と「包括申請」の使い分け
- 個別申請:特定の場所や日時に限定して飛行させる場合の申請です。
- 包括申請:日本全国など広い範囲で、1年間という長期にわたり繰り返し業務で飛行させる場合に便利な申請方法です。農薬散布やインフラ点検を事業として行う場合は、この「包括申請」を取得するのが一般的です。
なお農薬散布は、『危険物の輸送・物件投下(カテゴリーⅡA飛行)』にあたるため、資格などによる免除の対象外であり、必ずこの包括申請等の取得が必要です。
DIPS 2.0でのオンライン申請ステップ
実際の申請手順は以下の通りです。
① DIPS 2.0アカウント作成・ログイン
初めての方はDIPS 2.0の公式サイトにアクセスし、アカウントを開設してログインします。
② 操縦者情報・機体情報の登録
飛行させる操縦者の情報(技能証明書や民間資格の有無など)と、使用する機体情報をシステムに登録します。
③ 飛行許可・承認の申請フォーム入力
「飛行の目的」「経路」「日時」「特定飛行に該当する理由(DID、30m未満など)」を選択・入力し、安全を確保するための飛行マニュアル等を選択して申請を提出します。
④ 審査〜 許可書のダウンロード
申請はルール上「飛行開始予定日の10開庁日(土日祝日を除く)前まで」に行う必要があります。ただし書類に不備があると、修正対応で審査が長引くため、国土交通省は3〜4週間の余裕を持った申請を推奨しています。
審査が完了したら、システムから電子許可書をダウンロードして準備完了です。
レベル2飛行を安全に行うための注意点
自動飛行中も「目視」を怠らない
レベル2飛行はあくまで、「目視内」で機体の状況を常時監視している状態を指します。
自動飛行中だからといって機体から目を離し、手元のプロポやタブレットのモニター画面ばかりを注視してしまうと、その時点で「目視外飛行」に切り替わってしまいます。
目視外飛行の許可を得ていない状態でモニターを注視すると、航空法違反となる恐れがあるため、自動飛行中も機体を直接目で追い、周囲の安全確認を徹底しましょう。
飛行マニュアルの作成と遵守
飛行許可・承認を受けた場合、申請時に提出・選択した「飛行マニュアル(航空局の標準マニュアル、または独自マニュアル)」を遵守する義務が生じます。
風速制限の確認や、飛行前の機体点検、立ち入り管理区画の設定など、マニュアルに記載された安全確保措置を確実に行うことが重要です。
【まとめ】ドローンのレベル2飛行は「特定飛行」の該当有無を確認しよう
ドローンのレベル2飛行と法律・規制についてまとめると、以下のようになります。
- レベル2飛行は「目視内での自動飛行」であり、飛行自体に許可が必要なわけではない
- 飛行する空域や方法が航空法の「特定飛行」に該当する場合にのみ、許可・承認が必要になる
- 立入管理措置を講じたうえで、「二等資格以上」+「第二種機体認証以上」があれば、カテゴリーⅡB飛行に限り手続きが免除される
- 自動飛行中も機体から目を離さず(モニターを注視しすぎず)、安全管理とマニュアル遵守を徹底する
ドローンの法律は複雑で、法改正も頻繁に行われています。「自社の自動飛行業務が特定飛行の許可対象になるか不安」「包括申請を確実に行いたい」といった場合は、ドローン法務に詳しい行政書士などの専門家に相談するのもオススメです。
専門家のサポートも上手く活用しながらルールを守り、安全で効率的なドローン運用を実現させましょう。